肥満はなぜ関節を壊すのか?
2026/06/21
肥満はなぜ関節を壊すのか?
監修・著者
パーソナルジム心斎橋 理学療法士 志戸岡 大起
https://personalgymshinsaibashi.jp/
前回記事:筋肉量と生命予後
こんにちは!
パーソナルジム心斎橋 理学療法士の志戸岡 大起です☺️
「体重が増えてから膝が痛くなった」
「歩くと股関節に違和感がある」
「病院で痩せるように言われた」
このような経験はありませんか?
肥満と聞くと糖尿病や高血圧などの生活習慣病を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実際のリハビリ現場では、肥満による関節トラブルは非常に多く見られます。
特に膝関節や股関節は体重の影響を強く受けるため、肥満が続くことで変形性膝関節症や変形性股関節症の発症リスクが高まることが分かっています。
今回は「なぜ肥満が関節を壊してしまうのか」を、解説していきます。
⭐️関節は毎日体重を支えている
私たちは普段、自分の体重をあまり意識していません。
しかし膝や股関節は24時間365日、体重を支え続けています。
例えば体重が5kg増えた場合、単純に5kgの負担が増えるだけではありません。
歩行時には膝関節へ体重の約3〜5倍、階段昇降ではさらに大きな負荷が加わるとされています。
つまり体重が5kg増えただけでも、歩くたびに関節には15〜25kg以上の追加負荷がかかる可能性があります。
これが毎日何千歩も繰り返されることで、関節軟骨へのダメージが少しずつ蓄積していくのです。
⭐️軟骨は一度傷むと元に戻りにくい
関節の表面には軟骨というクッションがあります。
軟骨は骨同士が直接ぶつからないように衝撃を吸収する役割を担っています。
しかし軟骨には血管がほとんど存在しません。
そのため一度大きく損傷すると修復能力が非常に低い特徴があります。
肥満によって関節への負荷が増加すると、この軟骨が徐々にすり減っていきます。
初期段階では痛みがなくても、軟骨の摩耗は静かに進行している場合があります。
そしてある日突然、階段や立ち上がりで痛みを感じるようになるのです。
⭐️肥満は「炎症」を引き起こす
実は肥満による関節障害は、体重だけが原因ではありません。
近年の研究では脂肪組織そのものが炎症性物質を分泌していることが分かっています。
脂肪細胞から分泌されるサイトカインやアディポカインと呼ばれる物質は、身体の中で慢性的な炎症を引き起こします。
この炎症は関節軟骨にも悪影響を与えます。
つまり肥満は「重さによる物理的ダメージ」と「炎症による生化学的ダメージ」の二重攻撃を関節へ与えているのです。
そのため手や指など、体重が直接かからない関節でも変形性関節症との関連が報告されています。
筋力低下が関節をさらに悪化させる
肥満の方は運動量が低下しやすい傾向があります。
身体が重くなることで歩く機会が減り、筋力が低下してしまうのです。
本来、筋肉は関節を守る天然のサポーターです。
特に太ももの前側にある大腿四頭筋は、膝関節の安定性に大きく関与しています。
しかし筋力が低下すると関節への衝撃を吸収できなくなります。
結果として軟骨への負担が増加し、変形性関節症の進行を早める可能性があります。
リハビリで筋力トレーニングが重要視される理由はここにあります。
⭐️膝だけではなく股関節や腰にも影響する
肥満による影響は膝だけにとどまりません。
股関節も大きな負荷を受けています。
特に歩行や立ち上がり動作では股関節へ強い圧力が加わります。
また体重増加によって姿勢が変化し、骨盤の傾きや腰椎への負担も増加します。
その結果として腰痛を引き起こすことも少なくありません。
リハビリテーションでは痛みが出ている場所だけを見るのではなく、体重や筋肉量、歩行パターンなど全身を評価することが重要になります。
⭐️痩せるだけで痛みが改善することもある
変形性膝関節症の研究では、体重減少によって痛みや機能障害が改善することが報告されています。
体重が減ることで関節への負担が軽減されるだけではありません。
脂肪組織が減少することで炎症も抑制されやすくなります。
つまり減量は「関節の負担軽減」と「炎症改善」の両方に効果が期待できるのです。
ただし極端な食事制限は筋肉量を減らしてしまう可能性があります。
そのためリハビリやダイエットでは、筋肉を維持しながら脂肪を減らすことが理想です。
⭐️関節を守るために今日からできること
関節を守るために最も重要なのは、適正体重の維持です。
そしてもうひとつ大切なのが筋力トレーニングです。
特に下半身の筋力を維持することで関節への負担を分散できます。
またウォーキングや自転車運動、水中運動など関節への衝撃が少ない運動も有効です。
痛みが出てから対処するのではなく、痛みが出る前に予防することが将来の健康につながります。
⭐️まとめ
肥満は関節への負荷を大幅に増加させる
歩行時には体重の数倍の負担が膝へ加わる
軟骨は損傷すると回復しにくい
脂肪組織は炎症性物質を分泌する
筋力低下は関節障害をさらに悪化させる
膝だけでなく股関節や腰にも影響する
筋肉を維持しながらの減量が理想的
関節の痛みは年齢だけが原因ではありません。
体重管理と筋力維持によって、将来の関節トラブルを予防できる可能性があります。
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